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    ラーメン中村屋秘伝の湯切り
    「天空落とし」


    自分の職場はお昼になると業者さんがお弁当を配達してくれるんですよ。

    職場の一つ上の先輩に赤松さんというブスがいて、これが女子プロレスラーのダンプ松本さんを女にしたようなブスなんですけど、この赤松さんがお弁当を発注する係になっているので、希望する人は朝のうちに申請しておけばお昼にお弁当が届くというシステムになっているんです。

    で、ちゃんと申請したはずなのに管理人さんのお弁当だけ足りなくなっていて、おまけに後日料金だけしっかり徴収されるという、メンタルの弱い人間だったらデスクに遺書を残してトイレで首を吊ってるんじゃないかっていう事が多々あるので、この前のお昼休みはコンビニに行ったんです。

    そして、カップヌードルBIGカレー味とおにぎりをチョイスして店内を彷徨っていたらチョコが大量に並べられた棚を発見しましてね。
    この時期ってどこのお店でもバレンタインのコーナーが設けられているじゃないですか。
    自分が行ったコンビニでも華やかに飾られた棚にチョコたちが陳列されていたんです。
    で、ハート型に切り抜かれたポップに手書きで「手作りチョコに!」とか書かれているわけですよ。

    いやね、自分はこの手作りチョコというのに納得がいかんのです。
    もう北朝鮮にミサイル発射された時の官房長官のように意義を唱えるものであります。

    というのも、市販のチョコを溶かして固めただけで、それは本当に手作りのチョコと言えるのかという事なんですよ。
    これは音楽で例えると分かり易く、この作業というのは作曲ではなく編曲にあたると思うんです。
    手作りチョコの定義とは何なのか、皆様も今一度考えてみて下さい。

    そりゃあ例えば、カカオ農家の娘がいたとするじゃないですか。

    モデルに憧れていたひろ子は田舎暮らしに嫌気が差して上京するんです。
    しかし、都会暮らしは想像以上に厳しくて水商売をしながら生計を立てていくんですけど、悪いホストにハマッてデキちゃった結婚しちゃうんですよ。
    そして、そのホストは働かなくなるわ酒に溺れるわで、ひろ子は毎日酷いDVを受けるんです。

    そんなある日、実家のカカオ農家から電話が掛かってきて、お父さんが病気で亡くなったという事を知らされましてね。
    おまけに、銀行からの融資が打ち切られて農家は廃業の大ピンチ!
    ひろ子はホストと離婚してカカオ農家を引き継ぐ事を決意するんです。

    みたいな感じの「亡き父の意思を受け継いで一生懸命育てたカカオで作ったチョコです!」のチョコだったら、そりゃあ手作りチョコと言わざるを得ませんよ!
    もう誰が何と言おうとこれは手作りのチョコですよ!
    ひろ子の少し苦い思い出の詰まったビターチョコを手作りチョコと言わない冷酷な人間なんてこの世にいないと思う。

    もうね、ananやセブンティーンなんかの女性誌のバレンタイン特集でも、市販のチョコを可愛くデコレーションする方法を紹介するのではなく、カカオ農家を始めるにあたって国から助成金が出るのかとか、購入した土地に掛かる固定資産税の計算方法とかを詳細に掲載するべきなんですよ!
    このようなカカオ女子たちが作ったチョコこそが、真の手作りチョコと言えるのではないでしょうか。

    やはりですね、市販のチョコを溶かして少しアレンジして固めただけでは、それは手作りのチョコとは言えないと思うんです。
    だって、レトルトのカレーに総菜売り場で買ったカツをアレンジしたって、それは手作りのカツカレーとは言えないじゃないですか。

    まあ、このもっともに聞こえる理屈も「それだったらお前、日本刀だって鉄を溶かして固めただけって事になるじゃねぇーか。」と言われたら簡単に論破されてしまって、ぐうの音もチョキの音もパーの音も出ないんですけど、どうであれ、いつもこんな屁理屈ばかり考えているから自分はチョコを貰えないんだなぁと、コンビニのレジに並びながら痛感するのでした。

    で、自分の前には女子大生くらいの二人組の子が並んでいましてね。
    「頑張った自分へのご褒美~。」とか言って、チョコを手に仲良く話していたんです。
    そしたら自分も急にチョコを食べたくなっちゃいまして。
    カップヌードルBIGカレー味とおにぎりと一緒にチョコも買っちゃいました。

    「頑張った自分へのご褒美だ。」

    穏やかな日常に何だか少し微笑ましくなりました。

    しかしこの後、買ったお昼を外で食べていたらカップヌードルを倒しちゃって、そしたら麺が滝のように地面に流れ落ちましてね。
    一転、穏やかな日常が非日常と化したわけですよ。

    考えてみたら、自分は仕事で何一つ頑張っていない。
    いつも怠けてばかりだった。

    これは「頑張った自分へのご褒美」ではなく「怠慢な自分への懲罰」なのかもしれないと、チョコッとだけ反省するのでした。


    恵方巻きってあるじゃないですか。

    節分の時に食べると福が訪れるというやつ。
    これって風習だから土地によって差があるんだろうけど、最近急に広まったような気がするんですよね。

    で、この恵方巻きって企業が利益を生むために広めたとかで、なんか色々と叩かれているじゃないですか。
    別にこんなもの誰が何の目的で広めようがそんな事どうでもいいじゃねぇーかって思うし、世の中には何やっても突っかかってくる面倒くさい人間がいるなとも思うんですけど、しかし自分もこの流れに便乗して一つ言っちゃおうかと思いましてね。

    恵方巻きから派生したやつで恵方ロールケーキというのがあるじゃないですか。
    流石にこれは反則だろって思うんです。
    もう自分が審判だったら「ピピーーー!!!」と笛を吹きまくってレッドカードを5枚くらい出したくなっちゃうレベル。
    問答無用でペナルティーキックですよ。
    まあ自分はサッカーのルールは全然詳しくないし、アルシンドがハゲてるってくらいの知識しかないんですけど、可能ならボールを5個くらい用意して同時にペナルティーキックしてもいい。

    何がそこまで管理人さんをレッドカードのジャッジに駆り立てるのかと言いますとですね、最近の子供は、ナウいチルドレンは節分にケーキを食べているのかという事なんですよ!
    だって自分が子供の時は恵方ロールケーキなんてオシャレなものはありませんでしたからね。
    節分に食べていたものと言えば豆ですよ豆。
    英語で言うとビーンズですよビーンズ。
    リピート、アフタ、ミー。
    ビーーーンズ!

    で、そのビーンズを「縁起が良いから食べなさい」と言われて母親から渡されるんです。
    これが乾燥した豆で超絶マズイいんです。
    縁起だか何だか知らねぇーけど、何でこんなハトのエサみたいなもん食べなきゃいけねぇーんだよクルック~!

    そして、マズイから捨てようとすると、母親が強引に口に入れてきて意地でも食べさせようとするんです。
    もう鬼ですよね。

    とまあ、管理人さんはそんな残念な節分を過ごしていたわけです。


    で、節分と言えばやはり鬼ですが、鬼というのは意外と身近な所に存在していると思うんです。
    「鬼の空念仏」「鬼に金棒」「渡る世間に鬼はなし」というように、鬼の入ったことわざも多い。
    無慈悲な人間を鬼に例えたりもする。
    それくらい鬼というのは人々に意識されているのではないでしょうか。

    自分が子供の時も恐怖の象徴のような、それこそ鬼のような奴がいた。



    あれは幼稚園の年長の時でした。
    年齢で言ったら6歳だけど、今でもあの日の出来事を鮮明に覚えています。

    自分のクラスにはたなか君という子がいましてね。
    おそらく「田中」だろうけど漢字が分からないので一応「たなか」としておきます。

    このたなか君は幼稚園児とは思えぬ程の巨漢でクラスのボス的存在なんです。
    分かり易く例えると、洋画に出てくる刑務所ってロン毛のマッチョが囚人たちを仕切っているじゃないですか。
    まあ、たなか君はマッチョじゃなくてデブなんですけど、大体こんなイメージです。
    ダンプカーのように身体が大きく、気性も荒く誰も彼には逆らえないんです。

    休み時間におもちゃで遊んでいると皆から奪い取っていく。
    少しでも抵抗しようものならば容赦なくやられてしまう。

    いやね、何が怖いかって、いくら凶暴な奴と言ってもこういうのって普通は殴ったり蹴ったりとかじゃないですか。
    もうね、たなか君はそんじょそこいらのワルとはわけが違いますよ。
    殴ったり蹴ったりもしてくるんですけど、このデブ怒ると首を絞めて本気で殺しにかかってくるんですよ!
    もう覚せい剤でもやってるんじゃないかってくらいクレイジーなんです。

    なので、他のグループの子たちはたなか君を恐れて皆服従するようになっていきました。
    勿論、自分も反抗する勇気はなかったので、遊んでいる時にたなか君がやってきたらおもちゃを献上して機嫌を損ねない様にしていました。

    そんな獄中のような幼稚園生活が続いていました。

    そして、節分の日。
    その日は行事で豆を撒く事になりましてね。
    鬼のお面を被った園長先生が出てきて豆を投げるという、まあ何のヒネリもない普通の行事でした。

    先生から豆を受け取って鬼に豆を投げつける。

    「鬼は外ーーーー!!」

    皆、鬼を退治してやろうと躍起になっていました。
    たなか君なんて鬼のヒザに蹴りを入れてましたからね。
    おいおい、園長先生もう爺さんだぞ。
    そんな事したら死んじゃうって!
    もうどっちが鬼なんだか分からねぇーよ!

    この時、自分は気が付いたんです。

    「鬼はすぐ近くにいたんだ!」

    自分の目には確かに鬼が映り込んでいた。
    恐怖の象徴である鬼だ。

    そして何より、本当の鬼は己自身の心に住みついていた。
    理不尽な暴力に屈し、脅えながら暮らし、見て見ぬフリをしてきた。
    そんな脆弱な心に鬼は巣食っているのだ。

    今こそ決起する時だ。

    とまあ、幼少期の管理人さんはたなか君と戦う事を決意したんです。
    鬼退治ですよ。

    まあしかし、真っ向勝負をしたって10000000000%勝ち目はありません。
    たなか君はダンプカーのように身体がデカイ。
    これじゃ結果は目に見えています。

    なので、本人にバレないように、あくまで隠れながらコッソリと仕返しする事に決めました。

    いや、仕方ないじゃないですか!!
    だってあのデブ本当にクレイジーなんですから!
    全盛期のスタン・ハンセンくらい凶暴凶悪なんですから!
    命がいくつあっても足りねぇーよ!!
    この恐怖は文章では絶対に伝わらない。

    そんな凶暴凶悪なたなか君にどうやって仕返しをしてやろうか。
    それは簡単だった。

    豆撒きの豆を背後からおもいっきり投げつけてやろう!
    園庭は豆を撒く子たちでお祭り騒ぎになっている。
    絶対にバレやしない。

    こうして、鬼を退治する孤独な戦いが始まった。

    早速、先生の所へ行って豆を補充する。
    そして、息を殺しながらスナイパーのようにたなか君の背後へ回った。

    「鬼は外ーーー!!」

    豆をぶつけたら他の子たちに紛れて身を隠した。
    こっそりとたなか君の方を見たらハトが豆鉄砲を食らったような顔になってた。
    いや、デブが豆鉄砲を食らったような顔になってた。

    そしてもう一度。

    「鬼は外ーーー!!」

    これが面白いくらいヒットしましてね。
    しかも全くバレていないんです。

    このまま何回もぶつけて鬼をやっつけてやる!

    「鬼は外ーーー!!」

    豆がなくなったら先生の所へ戻ってポケットがパンパンになるまで補充し、次の戦いに備えました。
    そして、再びたなか君の背後に忍び寄る。

    「鬼は外ーーー!!」

    まだまだ、これは皆の分だーーー!!

    「鬼はそ・・・・」

    まあ、10回くらいやったんで流石にたなか君も学習しましてね。
    気が付いていないフリをして誰が投げてきているのか探っていたみたいです。
    もうこちらが野球のピッチャーのように振りかぶっていた時におもいっきり目が合いましたからね。

    やべぇーーー!!!
    殺される!!!

    自分は今までデンジャラスな事ばかりしてきたので、死にかけた事だったり死を覚悟した事が人生の中で何回かあるんですけど、おそらく死が間近に迫るという感覚を味わったのはこの時が最初だったと思います。

    たなか君はデブだから管理人さんだったら走れば逃げられるんじゃないかって思うじゃないですか。
    いやいやいや、そんな考え甘いですよ。
    恵方ロールケーキくらい甘いっすよ。

    そりゃあなぜかって、たなか君、動けるデブなんですよ!
    ズッシリした体型のくせにすげぇー足が早いんです。

    さっき、たなか君はダンプカーのように身体がデカイって書いたじゃないですか。
    これは大きさだけを例えたのではなく、走れるという事も伝えたくてダンプカーに例えていたんです。

    そんなたなか君が豆をぶつけられて、エンジンがオーバーヒートしそうなくらい激おこぷんぷん丸になっとるわけですよ。
    もう穴という穴から蒸気が噴き出していましたし、イメージですけど。
    絶体絶命です。

    そして、数秒間目が合った後すげぇー勢いで突進してきて、それはもうブレーキの壊れたダンプカーの如くこちらに突っ込んできましてね。
    もう10メートルくらい吹っ飛びましたよ。
    いや、10メートルはないだろうけど、それくらいの感覚でした。

    で、泣きながら顔を上げたら、たなか君ってば鬼の形相になっていました。
    顔を真っ赤にしながら怒り狂って、本当の赤鬼になってたわ。



    とまあ、子供の頃の管理人さんは鬼と死闘を繰り広げていました。
    鬼というのは身近なところに存在しているものなんです。

    今日はロクに仕事もせずこんな懐かしい事を思い出していたらお昼になっていました。

    で、なんか小林君が恵方巻きを大量に持って来とるんですよ。
    もう恵方ビジネスでも始めるんじゃねぇーかってレベル。

    「どしたのこれ?」

    「この前近くのスーパーで売れ残りを処分してたんで買い溜めしたんすよ。残り物には福があるってやつっすね。管理人さんにも一つあげますよ。」

    まあ、節分って先週じゃねぇーかとか、保存が出来ないから処分価格だったんだろとか、残り物には福っていうかこんなもん買い溜めして食費の負担を減らそうとしている時点でお前に福は来てねぇーだろとか色々と思いましたが、そういう鬼のような酷い事は言わないでおきました。

    「そういや管理人さん、めざましテレビ見ました?恵方巻きって北北西の方角を向いて食べるじゃないですか。女子アナが生放送で北北西を「きたきたにし」って間違って言っちゃってスタジオが騒然としてたんすよ。マジでバカじゃないっすか?」

    「そんなのわざとに決まってるじゃねぇーか。キャラ作ってんだよ。一流の大学を出て一流の企業に勤めてる女子アナがそんなの間違えるわけないじゃん。以前おバカタレントとかいうのも流行ったけど、ただのバカがテレビに出て大金を稼げるわけがない。本当のバカってのはね、ブログにうんこ漏らした事とかを書くような奴を言うんだよ!もっと根の深い問題なんだよ!」

    「えっ!?管理人さんブログやってるんすか!?」

    当然ですが、ブログをやっているというのは隠しておきました。
    こんな下劣なブログやってるなんて口が裂けても言えねぇーよ!

    「というか、お前うんこ漏らした事で何で真っ先に管理人さんを想像するんだよ!!」

    「えっ?わりとそういう認識ですけど。」

    ちょっ!!待っ!!何!?
    管理人さんって周囲からそういう認識をされてんの!?
    お漏らし系キャラなの!?

    「ふざけんじゃねぇーー!!小林テメェーぶっ殺す!!」

    この後、ケンカになってお互い鬼の形相で罵り合いました。


    人は誰でも簡単に鬼になってしまうのかもしれない。
    小さな切っ掛けで心の奥底に眠る鬼が目覚めてしまうのだ。
    そして、鬼に支配された者は心の弱さが露呈してしまうのを恐れ他者を執拗に攻撃する。
    幼稚園の時のたなか君も、醜い鬼に心を支配されてしまっていたのだと思う。


    節分というのは単に厄祓いの行事ではなく、先人たちが後世の人々を己の心と向き合わせるため、戒めの意味を込めて残したものなのかもしれません。
    「鬼は外」という掛け声には、胸の奥に潜む邪心を体外に取り除くという、そういった意味もあるのではないでしょうか。

    何だ、節分なんてマズイ豆を食べさせられてばかりだったけど、なかなか捨てたもんじゃねぇーな。
    ストレスの多い現代社会にとってはとても有意義な行事じゃねぇーかと甚く感心するのでした。


    ちなみに、小林君とは直ぐに仲直りしました。

    そして、二人で「きたきたにし」の方角を向きながら仲良く消費期限の切れた恵方巻きにかぶりつくのでした。

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